自己中本斬り。(仮再び) -6ページ目

鱗姫/嶽本野ばら


著者: 嶽本 野ばら
タイトル: 鱗姫―uloco hime

あたしをさらに美白へ傾倒させることとなった作品。
もともと肌を白く保つこと、「美白」には気を遣っていて、通学時も日傘を使っていたのですが、やはり面倒だったりして、さぼりがちになる。
そんなときにこの作品を読んで、背中がぞくぞくするような感じを覚えました。

主人公の少女は、名家のお嬢様。自分を美しく磨くこと、美しいものを愛でることがすべての暮らし。
うーん、素敵。でも、さらに凄いのは、彼女が「半端じゃない」こと。
美への固執の加減が、常軌を逸しているといっても過言ではないのです。

そんな彼女の精神に、あたしは憧れてしまったんですね。
以来、まだまだ夏はやってこない、という時期でも、もう肌寒くなってきた、というときでも日傘は手放さず、真冬でも日焼け止めクリームを忘れることはないのです。
こんな影響を受けてしまった乙女が、全国にどれだけいるんでしょう。もしこれを読んだら、書き込んでみてください。

そんな主人公を悲劇が襲うんですが・・・それは読んでのお楽しみ。
エグいことは間違いないんですが、この美しさ、お耽美さの前では、それを引き立てる役、もしくはその一部にしかならないでしょう。
ダメな人は全く受けつけないだろうと思いますが、共鳴してしまったら最後、はまること間違いなし。ぜひ一読を。

下妻物語/嶽本野ばら


著者: 嶽本 野ばら
タイトル: 下妻物語―ヤンキーちゃんとロリータちゃん

2年半ほど前、あたしの野ばらちゃんデビューが、この作品。
図書館の新着本コーナーで、ものすごく怪しげな本を発見。

「下妻物語」・・・うーん、無碍にされてる愛人のこと??

「ヤンキーちゃんとロリータちゃん」・・・なんでヤンキーとロリータが混在?ロリータが出てくる作品??

当時は野ばらちゃんの名前すら知らなかったんですね。
ロリータな格好をしている友達がいたりして、「ロリータ」という言葉に敏感になっていたあたしは、すぐ手に取る。

読んでみたら、ドロドロ鬱々した雰囲気なんてかけらもなく、完全なエンタメ作品じゃないですか。(後に、彼にとってははじめてのエンタメ、大衆向け作品だということを知ったのですが。)
これだけ強烈なキャラを見せ付けられたのは初めてのことだったので、呆然としてしまいました。
それからですね、彼の世界にどっぷり漬かっていったのは。

漬かっていった過程で読んだ作品やエピソードは、追々書いていくことにして・・・。
とにかく野ばらちゃんデビューには、この作品がおすすめ。
ロリータ、というだけで拒否反応が起こってしまう人も多いでしょうから、
直木賞作品を一応読んでみる、という軽い気持ちで読んでみるといいと思いますよ。
スカッとすること、間違いなし。

エルマーのぼうけん


著者: ルース・スタイルス・ガネット, ルース・クリスマン・ガネット
タイトル: エルマーのぼうけん 3冊セット

小学4年生だったか4年生だったかのときに、一部が教科書に出てきたんです。その少し前だったかな、ちょっと遠出したときに、デパートに入ってる書店で父親が買ってくれたもの。確か。多分。

「エルマーのぼうけん」「エルマーとりゅう」「エルマーと16ぴきのりゅう」の3冊セット。何十回読んだだろう…というくらい読みましたね。小学校に入ってからは本は図書館で借りるもので、買ってもらうなんてことは滅多になかったので、よほど嬉しかったんでしょうか。

学校の授業の一環で、掲載されていた部分の続きを考えよう、さらに地図(「どうぶつ島」と「みかん島」の地図が載っていたんですね)を使って自分で物語を考えよう、というのがあったんです。厚紙に絵と文章を書いて、ノリで貼り合わせて、本にして。

当時相当「エルマー」に傾倒、そしてセーラームーンを初期から見続けて壮大なストーリーに憧れたあたしは、家まで持ち帰って30ページ以上の大作を完成。

男の子と女の子がお姫様を助けに行く、というやつだった気がします。
最初は「エルマー」と同様、リュックサックに荷物を詰めて出かけるんですが、そこは子どもの考えること、さらに長いお話ということもあって、色々な不都合が出てくるわけですよ。ライオンをどうにかしたいのに、道具が何も残っていない。さあどうしよう。

そこで登場するのが、こんな文章。
「実は○○のお父さんは科学者だったので、とだなからこっそりとねむりぐすりをもってきておいたのです。」

なんというご都合主義。しかももってきたのは「ねむりぐすり」。睡眠薬なんていうカッコイイ呼び名は知らなかったんですね。知っていたはいたで得意気に使っていたでしょうが。


・・・と、こんなことは「エルマーのぼうけん」にはなく、何気ないことが後で重要な意味を持ってくる、という物語の基本であり醍醐味である部分をしっかり抑えています。
感情をあらわにせず、淡々とした語り口なのも、かえって緊迫感や優しさが際立つようで良いですね。

子どもにぜひとも読ませたい本なのでした。

お供



今日は私大入試でした。ということで試験のお供の話でも。
国語の試験の前、本を読んでいます。さらさらと問題が読めるかな、と思って。
テスト直前の行動として正しいかどうかはわからないのだけれど。頭を日本語の長文に切り替える、ということには役立っているんじゃないかな。

今日のお供は夏目漱石の「文鳥・夢十夜」。ぶっこふで買ったやつです。
適度に古い時代(笑)なのが功を奏したのかどうかはわかりませんが(違います、簡単だったんです)、ほぼ完璧に解けた感触です。よかったよかった。サンキュー漱石さん。一応さんづけ。

ちなみにセンター試験のときは、江國香織の「きらきらひかる」。文章が落ち着けるからいいかなぁ、と思ったけれど出来はからっきしダメでした。決して本のせいではないのに本のせいにしたくなる。あぁ哀れなあたしの本。

ゲンをかついで次の入試は、漱石さんを持っていこうと思います。

アルジャーノンに花束を/ダニエル・キイス


著者: ダニエル キイス, 小尾 芙佐, 小尾 芙佐
タイトル: アルジャーノンに花束を

映画とドラマがあったんでしたっけ?よく知らないのですが。ユースケ・サンタマリア(この人好きw)がドアの前で「母さーーーん!」と泣いていたCMしか覚えていないんですが。

傑作だと思います。SFというには生なましすぎる気がして、巻末の解説を見て「あぁ、これはSF作品だったのか」と妙な感慨を受けました。
特筆すべきは訳者のセンス。こんな上手い訳は初めて見ました。

終わりに近づくにつれて胸が締め付けられて、最後の数行でとめどなく涙が溢れました。
きっとこの世界のどこかには、チャ―リイのような苦しみを抱えている人がいるんでしょう。
この世には知らない方が幸せでいられることがたくさんあって…むしろそれで溢れかえっているのでしょう。
わかってしまうから、悲しみや、傷や、悪意を知る。
わからなかったら、幸せでいられる。

わからなければわかりたいと思う。
だってわかる人が、幸福そうにみえるから。
でもそれは違って、彼らは暗闇でもがき苦しみながら、
それでも生きようと、幸せになろうとしている。

チャ―リイはどちらの気持ちも知っているけれど、
それはもう、思い出せないもの。チャ―リイから消えてしまったもの。

彼より「りこう」だった科学者たちは、彼に束の間の喜びと、永遠に続くかに見えた悲嘆を与えた。そしてその両方を再び、奪った。

だから彼らを憎みたくなる。
しかしその衝動は、再び悪意を知らない知能に戻ったチャ―リイの手紙によってあたたかく、そしてどうしようもなく切ないものへと変わっていく。


あたしは多分、両極端のチャーリイの「中間」の知能です。
人の悪意を感じる事ができてしまうし、
かといってそれを「愚かだ」といって一蹴、許すことなどできません。
どうしようもなく中途半端な存在。この世の大半の人がそう。
この苦しい気持ちをどうしたらいいのかわからなくて、
その迷いや痛み、足掻きがいろんなものを生み出したんでしょう。
ひとりが生み出したもので誰かの傷が癒され、それはどんどん広がっていく。

悪意や悲劇に満ち満ちていても、そんな世界を素敵だと思います。

Deep Love/Yoshi


著者: Yoshi
タイトル: Deep Love―アユの物語 完全版

シリーズの他の本をまだ読んでいないこと、映画も見ていないこと、この本についての背景に詳しくないこと、酷評であること、をご了承の上お読みください。


直ぐに読み終えました 軽いからね
ええと 予想通り、というか予想以上に思ったとおりでしたね。
なになに、女子高生の間で口コミで話題に??
ほうほう、世の中には頭の弱い高校生諸君が多いんですね。
「これに感動した」
そう人にすすめること自体恥ずかしくないんですかね。
と同時に、「女子高生の間で」「メールで」っていうキーワードを使って、
女子高生というものに対する厄介なイメージ、雛型を作って宣伝してくれた、メディアやら出版社も酷いと思いますよ。つか迷惑。
そういや地元の広報誌に、「タイの女子高生が留学、国際交流」ってな見出しの記事があったんですよ。真面目な記事ね。
そういうのに女子高生っていう単語を使って欲しくない。彼女らは勉強しにきてるわけ。日本の節操なし(という雛型)と一緒にしちゃ可哀想だわ。
もう、若い子に(;´Д`)ハァハァするオジサンたちにも通用しない単語よ?
時代はBerry’s工房みたいですよ、どうも。

作中で、
「なんたらかんたら。
 ・・・それが時代。
 なんたらかんたら。
 ・・・それが時代。」って20回くらい繰り返されて、
「時代」っていう言葉が多用されてるんですけれど。
どういう時代だよ?ほんと。
金に流され、人を傷つけ・・・なんてことはいつの時代もあること。
しかもそれを肯定とまではいかないまでも、あきらめたような言い回しにするところが気に食わない。
その時代を変える世代である若者に対するイメージをつくっちゃってどうするのさ?
こんなんじゃ老いていく大人が可哀想。希望もへったくれもない。

さらに、作者は巻末に「エイズ撲滅のための小説」と記してましたが、
どこが???
ど~う考えてもそれが主旨であるとは思えないんですが。
友達や、色んな人がこの本読んで感想書いてますが、
「エイズ」という単語は一回も見たことないですよ??
伝えるのが下手くそなのか、売りたくてあえてそうしたのか・・・


まあこのくらいにして、無難な感想をかいておくと、、
こんな本に大勢の人が感動する「時代」であること、それが悲しいです。

それと、最後の義之少年の行動、それだけがまだ心に残ってます。
おわりよければ全てよしってか。
少なくとも、「読まなきゃよかったー」とは思わなかった。
・・・やるな、Yoshi氏。

ぶっこふ

昨夜、BOOK OFFへ行ってきた。
ほんとは書店で、まっさらな本を買いたいんだけどなぁ。
でも、人が一度、もしくは何度も読んだ本も味わいがあっていいな、とも思う。折れや汚れ(コーヒーの染みとか、クレヨンなど・・・)、ラインがひいてあったりして、「どんな人が読んでたのかな?」って想像するだけで、楽しくなる。

購入した本たちをご紹介(手にとった順)

「リアル鬼ごっこ」山田悠介
  知り合いがいいと言っていたので、みつけて直ぐに手にとる。
「鱗姫(文庫)」嶽本野ばら
  ほんとはハードカバーが欲しいのだけれど、
  手元に置いて読みたい本なので。状態も良かったのでね。
  小学館文庫のカバーの紙質はありがたい。
「文鳥・夢十夜」夏目漱石
  「夢十夜」を読みたくて。
  先日行った書店に置いてなかったので探してみたら、発見。
「Deep Love」Yoshi
  あ、100円棚にある、そういえばまだよんでなかったな、
  そんな理由。目を通したかっただけ。
  帰ってから読んだけれど、案の定・・・。
「男の気持ちがわからない君へ」秋元康
  いちばんレジ側の、実用書コーナーにたまには行ってみる。
  この人の記事を読んでからずっと本をよんでみたかったので、
  とりあえず年齢相応っぽいタイトルを選択。

脈絡ない買い方かな、と思ったけれど、そうでもないかも。
今日のテーマは「夢見る現代っコの夜」かしらん。・・・う~ん、いまいち。
何か良い言い回しないですかね?

それにしても、「音楽」コーナーに木根尚登の小説が置いてあったのは当然というか、笑えるというか・・・。全く音楽のこと書いてないし、自伝でもないのにね。
オビには「彼は小説の世界でも才能を発揮している」みたいなコメントが著名人から寄せられていたのですが、所詮ミュージシャン。印税入ってよかったね。

最悪/奥田英朗


著者: 奥田 英朗
タイトル: 最悪

この本に対して上手くコメントはできないんですが。
えー、最悪です。面白いくらいに最悪です。でもかわいそうです。でも快い最悪加減です。
読みながら「あ~あ~あ~あ~」と言ってしまいます。
そして心が温まってしまうんです。
今生きている人に最も必要な小説は、奥田英朗のエンタメ小説ではないかと。
純愛やら死やらで泣くよりも、こっちを断然お勧め。

(Nov.11.22)

泳いで帰れ/奥田英朗


著者: 奥田 英朗
タイトル: 泳いで帰れ

大変恥ずかしながらあたくし、この本の奥付(っていうんですか?)を見るまで、「おくだ・ひでお」という読み方を存じておりませんでした。「オクタ・ヒデロウ」というカタカナっぽい響きだと思っておりました。失礼致しました。

ええと、奥田さんのアテネオリンピック紀行です。野球を見に行く筈だったのに、本文の5分の1ほどしか野球の文章はありません。生のアテネ事情、文化、オリンピックにまつわるトリビアが増えることと思います。
ベテランライターだけあって非常に読みやすく、良いリズムで笑いがくる。

難点は、文字でかい・改行多い・余白多い・紙が分厚い
→非常に開きにくく、読みづらい。
これは狙ってやってるんでしょうかね?確かにぱっとひらいたら「読みやすそう」(=軽そう)って思ったから。

アリスの穴の中で/上野瞭


著者: 上野 瞭
タイトル: アリスの穴の中で

男なのに、セックスもしていないのに、妻ではなく夫が妊娠してしまった。まぁ面白い題材。
妊娠という事実を受け入れるまでにかなりの時間がかかる。すぐ受け入れられるアメリカ映画とは違ってリアリティがある。

後半。展開がありきたりすぎて、折角の突飛な題材が、台無し。
終わり方も尻切れトンボ。全くお勧めしない。