玩具修理者/MEIMU | 自己中本斬り。(仮再び)

玩具修理者/MEIMU



著者: Meimu, 小林 泰三
タイトル: 玩具修理者

久々の更新です。以前と若干テンションが変わってるかもしれないんですが気にしないように。
さて、本日の「玩具修理者」、小説じゃなくてコミックです。ホラーは全くだめなのでそっちには全く無知なのですが、これは特別思い入れのある本。

小学校4年か5年くらいだったかな?よく地元の公民館に自転車で行って、図書館でずっと本を読んでたんです。土日に行くことはなかったので中高生もいないし、おじいちゃんたちのたまり場になってたなんてこともなかったな。ロビーは常に人がいたけれど、図書室はしんと静まりかえっていて薄暗かった(今思えば単に節電してただけだったんだろうな)。そんな空気が好きでよく通ってました。たぶん。

で、背表紙のタイトルと字体に惹かれて手にとったのが、これ。衝撃でしたね。心臓ばくばく、冷や汗かきながら読んでました。でも不思議なことに「気持ち悪い」とは思わなくて、人間の儚さ、というより不安定さかな。そんなものを感じていました。異形のものに対する恐怖よりも愛おしさ。異世界との境なんてなくて、作中にもあるように「誰にでも行ける」ところなんだなと。そういう世界が近くにある、と思ったら怖くなったけれど、昂ぶっている割に変に冷静な頭だったなぁ。


で、何故今そんな思い出話かというと、先日ネットサーフィンしていたら、偶然にもこの本のタイトルを目にしてしまって。「あ」とつぶやくなり速攻で購入手続きしてました。
それが今日届き、本を手にしてぱらぱらとめくった瞬間、昔の自分の姿が喚起されたというわけです。

あたしは世の本好きがそうであるように「何かの機会に本を読む」ということはめったになく、何かを読んでいるのが日常なので、これだけ具体的な場面や空気を思い出させてくれる作品は珍しいんですよ。そんなわけでなんだか嬉しくなってしまいました。
今日改めて読んでみてもこわくなって後ろを振り返ってみたり、ということはなかったですね。と書いてみたら急に振り返りたくなってしまい振り返ってみました。携帯の黒い画面がちょっとこわいです。

どこかが異世界とつながっているかもしれない、異形のものがひそんでいるかもしれない、それは恐怖であると同時に、たまらなく甘美な感覚をもたらしてくれるのです。時々。