密やかな結晶/小川洋子 | 自己中本斬り。(仮再び)

密やかな結晶/小川洋子


著者: 小川 洋子
タイトル: 密やかな結晶

消失が起こった日の朝は、すぐそれとわかります。
空気がざらついていて、島中が静かなざわめきに包まれています。

ある日目覚めたら、「何か」が消失している。
昨日まで読んでいた小説。
これは、何だろう。
「小説、だよ。君が大好きな」
「ショウ、セツ?」

その島から、何かが消えてゆく。ひとつひとつ。
次に消えるのは?
何が消えてもおかしくない。
小説を書いている「私」は思う。「もし言葉が消失したら?」
そして、この体にもいつか訪れる、消失。

切なすぎて、悲しすぎて。
放課後の図書室で、顔を涙だらけにして読んでいました。